絵本作家「さやか」さん 22歳
神奈川県平塚市在住。
『工房絵(kouboukai)』には養護学校卒業後の18歳から4年在席。
第4回(平成20年)逗子市手づくり絵本コンクール一般の部『最優秀賞』受賞!
◎『狼と5頭の子馬』 さやか作・絵
さやかさんは『工房絵デザイン室』の所属アーティストです。
ビビットでカラフルな色使いと細かなディティルにまで拘った優しいタッチの絵が心をギュっと掴みます。
さらに素直で簡潔な文章が、楽しい空想の世界を映し出し、爽やかな"さやかワールド"が目の前に広がります。

◎新作『オーストリアの物語(仮)』製作中のさやかさん
『工房絵』は知的障害者のための福祉センターで、現在は40名ほどが所属しています。
「ARTする福祉施設」と、日本では大変珍しい(新しい)スタイルの施設です。
2月の初旬、平塚のアトリエへお邪魔して、
施設長の関根幹司さんに色々とお話をお伺いすることが出来ました。

◎建物1Fの廊下に飾られた工房絵アーティストによる作品
『工房絵』を始めたきっかけは何だったのですか?
『地域作業所(小規模作業所)』に努めていました。
これは無認可で、殆どの施設は自宅の一部を開放して活動しています。
法令もなく「何をやっても、やらなくてもよい」要するに内情がわかりにくい...。
職員もコロコロと変わりやすく、一定の活動レベルを保つのは大変。
そこで地域作業所を『NPO法人化』することを、国が推進し始めました。
90年からその準備をはじめて、92年にこの『工房絵』を設立することが出来ました。
彼らはココに来て、自由に制作活動をしています。
「アレをしなさい、コレをやりなさい」と言う風に指示することはありません。
しかし、全てを与えられ管理されて育ってきた彼らに、
「何をしてもいいんだよ!」
と言っても、最初は戸惑うばかりで、イメージさえも浮かばない...。
「やりたいことはなに?」と訪ねると、
→「内職的な作業は出来る=慣れていることなのでやりたい」と言う。
でもそれは本当の意味での"やりたいこと!"ではないよね。
「クラフト的なこと(陶芸など)ならどう?」
→「...やりたくない!」
「なぜ?」
→「ナニカを作らなくちゃいけないから...」
つまり"与えられた作業は言われたとおりに出来る"が、"自分でナニカ?を考えて作る"
と言うことが難しいのだとわかって、
まず"選択をさせる"="自主性を育てる"
ことから始めなければならない!と思ったんですよ。
そこで、
「家ではいつも何をしているの?」
→「絵を描いています」
→「工作(手遊び的)をしています」
「んじゃ、それを持ってきてみせて!」
持参したものを見てみると、まァ"絵"と言えるようなものじゃあなかったけれど、
"うん!コレは面白い!"と思った!
それで"絵として売る"のではなく"カレンダーにしてみよう!"と、思いついたわけ!
コレが意外と反応が良かったんだよね~(笑)。
◎「池田ジャスティーヌ」さんの新作!
そこからグッズの制作や、絵の販売と展示会などを手探りでやってみて、知人の紹介もあって『代官山オクラ』さんに出展してみたところ、思いがけない反響があったんだよね!
それまではココへ見学に来る人たちは、その殆どが福祉関係者だったのに、個人的に「見に行きたい」と言う人が増えたんだよ。しかも若年層が多くなって、全国から問合せが来るようになった!
「施設見学」じゃなくて「アトリエを見たい。作家さんと会いたい」と言う風に見学希望者の表現も変化していったんだよ。
このことがどれだけ彼らの励みになっているか。。。
そうして"絵を描くことが楽しいこと"なんだという風にみんなに伝染していって、今のこのアトリエのスタイルが自然発生的に出来上がっていったんです。
◎デザイン室長の北澤さんと作家さんたち
『工房絵(こうぼうかい)』というネーミングは、最初から"絵のアトリエにしよう!"と思ってつけた訳じゃなくて、ロゴとして使ってもタイトでいいし、何よりもオト(響き)が良くて親しみやすいのがいいなーと、そんな感じでつけたら、
"名前が先で内容が後から伴ってきた"って感じですよ!(笑)
アメリカなんかだと『アウトサイダーアート』なんて言ってすでに障害者アートは一般に広まっているんだけどね、日本じゃまだまだ・・・
と、お話はなかなか尽きなかったのですが、丁度ランチ時と重なってしまって、テーブルのあちらこちらから、い~いにおいがプーンと鼻腔をくすぐって堪らず、キリのついたところでお暇する事にしました。関根さんのアップテンポな世間話に後ろ髪惹かれつつも...。(笑)

◎マックをランチに買ってきた清水くんのポテトがみんなに狙われてる(笑)
後ろで笑って観ているのが清水君。この後私にもお裾分けしてくれました。
ありがと、ご馳走様でした~♪
とっても熱くそして沢山の優しい思いを込めて力強く語って下さって、
関根さん・北澤さん・さやかちゃん、皆さん本当にありがとうございました!
<取材後記>
出逢いは湘南スタイルの交流会でした。
ゲストスピーカーの『工房絵』デザイン室室長:北澤桃子さんの明るくて可愛いキャラクターで、本来ならば重いテーマとして捉われがちな障害者施設についての講演も、楽しいヒトトキとなりました。
◎シャイな北澤さん♪
そこでの「さやか」さんの紙芝居に衝撃を受けて、この取材に至りました。
インタビューは、日当たりの良い広々としたアトリエ中央の大きなテーブルでオープンに行われました。純真無垢な彼らから、自然体で居ることの潔さを学ばせていただいた気がします。
作家さんたちは、自分の好みの場所で思い思いに制作活動をしています。小さな畳の間もあったり、パソコンを使っている人もいたり、陶芸のコーナーもあり、可愛い独創的な作品たちが今か今かと焼かれるのを待っています。

幼稚園でもある建物の4階のワンフロアーを利用していて、各部屋はバア~と見渡せるように、ドアも仕切りも取り払われ、壁がところどころに(若干)残っているので、かろうじて区分がわかると言う感じ。
実はどこが事務室なのか?さえも、最後まで解りませんでした。(苦笑)という限りなくオープンなスペース! で、どの人が・・・!?

「ご自由に見てってくださいネ!」とのことで、お言葉に甘えてアチコチうろちょろしていると、作家さんたちが気さくに声を掛けてくれました。ありがとう~♪
「利用者さんを"障害者"ではなく、一人の"表現者"として、そのパフォーマンス(表現活動)を支援しています」
という、社会福祉施設『工房絵』さんの素敵な活動を、これからも私なりに(微力ながら)応援していきたいなァと思っています!
4000点を越える素晴らしい斬新なアートがココに眠っています!イベントやギャラリーでの展示会、また絵画レンタルなども行ってるそうです!
『アートする福祉施設 工房絵』コチラよりご相談下さい。